ノアです。2015年よりシンガポール在住。現地採用夫婦でツツマシク暮らしています。現地採用で海外で働く!を基本に情報共有できればと思っています。

Nov 2, 2017

シンガポールの税金(個人)



2017年10月時点

シンガポールの諸々税率が低い、かからないことは有名ですが、個人で支払う税金について日本と比較したいと思います。



  • 所得税
日本と同じで累進課税です。
税率表はこちらに掲載されています。過去分も見ることができます。




ちなみに、YA2017とは2017年に支払う税金のことなので、計算対象は2016年1月から12月の所得になります。

表の下には、
For YA 2017, a Personal Tax Rebate of 20% of tax payable, up to maximum of $500 is granted to tax residents. 
とあります。
シンガポール政府の資産運用がうまくいっているからでしょうか。上限S$500として、税額の20%が減額されます。
例えばYA2015ですと50%、所得税が半額になったのです!安いですね。

また、Personal Reliefの中で、デフォルトで年齢に応じた控除があります。
デフォルトとしたのは、SRS(Supplementary Retirement Scheme)口座への入金もPersonal Reliefの対象となるためです。
SRS口座については後ほど説明したいと思います。
https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Individuals/Locals/Working-Out-Your-Taxes/Deductions-for-Individuals/Earned-Income-Relief/

30歳、年収S$60,000を例として、所得税を計算してみましょう。

(S$60,000-S$1,000)=S$59,000が所得税計算(Chargeable Income)の対象となります。
S$59,000は税率表の上から3番目のGross Tax PayableにあるS$550がまずかかります。
S$59,000-S$40,000=S$19,000分の税率は7%なのでS$1,330です。
合計でS$1,880が所得税なのですが、YA2017ですと上限S$500で20%が戻されますので、S$1,880*20%=S$376が減額されます。
つまり、S$1,880-S$376=S$1,504がYA2017の個人所得税となります!

年収をS$60,000としていますから、税率2.5%ですね。


< 日本の所得税とのざっくり比較 >

同程度の年収で比較してみたいと思います。
S$60,000をS$1=80円換算で、480万円とします。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
480万円*20%-427,500円=532,500円
532,500円÷480万円=11.1%

ざっくり11.1%となるようです。



  • 所得税を支払う流れ
12月末で年度が切り替わり、3月頃から手続きを開始していきます。
支払手続きは自分で行います。(駐在員は会社がやるところもあるようですが)

会社に勤めていることを前提にしますと、人事部が1月から12月の所得を計算し、シンガポール当局(IRAS、Inland Revenue Authority of Singapore)にfiling=(電子)申請します。
https://www.iras.gov.sg/irashome/default.aspx

人事部がfilingを完了すると、いついつから手続きを開始できるか連絡がくると思います。
指定された期間(2月から3月頃)に、自分個人のTax Portalサイトにログインし、申告されている昨年の所得が間違いないことを確認します。
Portalサイトのログインではスマホ番号での認証がありますので、番号が変わる際は注意してください!

金額に問題がなければ、手続きを進めるボタンを押してください。
1か月後や3か月後(!)に支払うようSNSで連絡が届きます。問題ないのに時間がかかることもあるので気長に待つしかありません。

支払催促が届いたら、例えばご自分の銀行口座から振込を行います。
支払番号のようなものをTax Portalで確認することができるので、その番号を打ち込めば簡単に振込ができます。

延滞金をとられたりしたら気分が悪いので、数日後にTax Portalにログインし、着金していることを確認しています。

所得税額の決定や支払済等の連絡は郵送でもあるのですが、遅いことが多いです。



  • Supplementary Retirement Scheme(SRS)について
日本のiDeCoに少し似た課税先送りスキームになります。
シンガポール人・PRは年間S$15,300まで、外国人は年間S$35,700までSRSスキームを使うことができます。

SRS口座に入れたお金は当分使用しない、将来のための資産分のみにします。
退職年齢(現在は62歳)より前ですと、Penalty Feeとして引出金額全額に対して5%で課税されます。
退職後ですと、引出金額の50%が課税対象から控除され、Penalty Feeもかかりません。

破産した場合、障害を負った場合、等の緊急事態に陥った際には、Penalty Feeがかからなかったり、引出金額の50%課税控除があったりしますので、そのような状況は想定しなくて大丈夫です。

また、外国人ですと、初めてSRS口座に入れた年から10年経つと50%課税対象控除とPenalty Fee免除となりますが、一度に全額引き出す必要があります。

SRS口座を作れるのは、DBS、OCBC、UOBのみです。
ただ免税対象とするだけで預金しておくのはもったいないので運用しますよね?運用を開始するまでの手続きは結構時間がかかります。
銀行口座を開設、銀行でSRS口座を開設、銀行口座にリンクした証券口座開設、SGX口座も開設して、SGX口座と証券口座をLinkageさせて・・・といった手続きがあります。
銀行口座開設時の担当者が気が利くといいのですが、、まあそういったことはあまり期待せず、メールや店舗訪問等で一つずつクリアしていきましょう。

参考URL
http://www.mof.gov.sg/MOF-For/Individuals/Supplementary-Retirement-Scheme-SRS
https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Schemes/Individuals/Supplementary-Retirement-Scheme--SRS-/